活動

2020年6月9日

公募研究代表者の上田(石原) 奈津実さんと佐々木 拓哉さんが令和2年度 文部科学大臣表彰 若手科学者賞を受賞しました

本領域公募研究代表A02 上田(石原) 奈津実さん (名古屋大学大学院理学研究科)とA03 佐々木 拓哉さん (東京大学大学院薬学系研究科)が令和2年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞を受賞しました。

文部科学大臣表彰 若手科学者賞は、萌芽的な研究、独創的視点に立った研究等、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた40歳未満の若手研究者を対象としたものです。
尚、表彰式は科学技術週間中に開催の予定でしたが、参加者への新型コロナウイルス感染症対策のため、中止となりました。

●受賞者のコメント

上田(石原) 奈津実
名古屋大学大学院理学研究科
上田(石原) 奈津実

このたび「脳神経回路の形成と機能を支える分子メカニズムの研究」について、令和2年度文部科学大臣表彰若手科学者賞を賜りました。対象研究について、研究を展開する機会を与えて下さった木下専教授、恩師である東京大学医学研究科の尾藤晴彦先生、共同研究者の先生方、一緒に研究を進めてきた、木下研の修士・学部学生さん、技術補佐員さんには、この場をお借りして心より感謝申し上げます。また研究の一部は、新学術領域「個性創発脳」に採択頂き実施しているものです。改めて、大隅典子先生をはじめ班員の皆様にお礼申し上げます。

私は学生時代から、脳神経回路の形成と機能を支える分子基盤の解明を進めております。このテーマは脳の構造と機能の本質を理解する上で重要な課題であると確信し、細胞骨格分子セプチンに焦点を当て、電子顕微鏡からライブイメージングを駆使した定量的形態解析を構築し、神経線維の伸展や効率的な学習の細胞骨格基盤を明らかにしてまいりました。今後は、10年来の目標であった記憶維持の本質に迫る研究を展開するとともに、研究を通じて将来を担う学生さんの人材育成に貢献できればと考えております。皆様から賞を与えて良かったと感じていただけるよう精進していく所存です。引き続き、よろしくご指導のほどお願い申しあげます。

佐々木 拓哉
東京大学大学院薬学系研究科
佐々木 拓哉

このたび「脳機能を実現する神経回路動態の研究」について、令和2年度文部科学大臣表彰若手科学者賞を賜りました。本研究は、私が学生の頃から約15年にわたり主軸としているテーマであり、その間に5つの研究機関(東京大学・カリフォルニア大学サンディエゴ校・生理学研究所・埼玉大学・東北大学)にて多くの先生方、研究室メンバーにお世話になりました。また、本研究は、新学術領域「個性創発脳」をはじめ、多くの科研費の支えによって実現できた研究です。この場をお借りして心より感謝申し上げます。

私の研究では、脳の神経細胞の活動を直接計測し、その中に潜む記憶や情動のメカニズムを明らかにすることを目指しています。しかし、深淵な脳の世界を知るには、まだまだ多くの研究が必要であることを、日々身をもって実感しています。その中で、特に重要な考え方は、脳は機械とは異なり、すべての個体で皆異なっており、また同じ個体の中でさえ、一瞬たりとも同じ活動は生じないということです。こうした現象は、再現性や均一性を重視する従来の生命科学の俎上では、扱うことが非常に難しいですが、脳の正しい理解には、欠かせない考え方だと思います。本新学術領域「個性創発脳」では、そのような問題意識を研究者の皆様と共有し、多くの新たな研究視点を勉強させて頂いております。今後も、どのような脳神経回路動態から、どのような個性が生じるか解明を目指し、個性的な研究を続けていく所存です。引き続き、御指導の程よろしくお願いいたします。